平成20年度まで実施してきた全国森林管理局所蔵史料調査は、行政改革による組織の統廃合で廃棄・散逸の危機に見舞われた貴重な林野行政史料の保全が第一の目的でしたが、そこで調査対象となったのは、国有林行政に関する文書類に限られていました。しかし、日本の森林の崩壊状況は、国有林に限らず、公有林・民有林でも同様であり、さまざまなレベルで存在する林業経営体は、その存立が危ぶまれ、そこで保存されてきた貴重な営林関係史料は散逸の危機に瀕しています。
例えば、平成の大合併によって複数の自治体が統合された結果、文書保管庫のキャパシティの問題などで公有林行政関係史料(一部明治期の国有林関係史料を含む)が廃棄される危険性が高まっており、また、地域博物館・資料館も統廃合の動きが加速していて、そこに所蔵されている史料の適切な移管が困難になる事態も憂慮されています。さらには、博物館・資料館の経営効率化の影響で学芸員などの人員削減が図られた結果、活動の中心を集客力のある展示活動に取られ、活動実績の数字にはあらわれにくい所蔵史料の整理・保存・公開といった基礎的作業に労力を向けられないといった事態も生じ始めているのです。
また、森林の管理・活用に関する史料は、各地の行政機関や博物館・資料館などの史料保存機関、山林地域の旧家(民有林の場合)など、全国に散在しているため、まとまった研究を困難にしている点も大きな問題です。環境問題への関心が高まり、森林の適切な管理・活用のあり方が問題にされる現状にあって、その歴史的経緯を探るための重要な研究史料のデータが一元的に集約されていないということは、研究の深化・効率化を図るうえで大きな障害となります。
以上のような林政史関係史料の状況に鑑み、当研究所では、全国に散在する史料のデータを集約し、研究基盤を強化して日本の林政史研究センターとして機能させていくという目的のもと、「林政史アーカイブズ調査」を進めることにしました。この調査は、国有林・公有林・民有林の区別なく、散逸の危機にあったり、研究利用が困難な状況であったり、研究上極めて有用と認められる林政史関係史料を鋭意調査し、史料画像のデジタルデータを収集して、今後の研究への活用と公開への道筋をつけることを主眼とするものです。また、これまで調査を実施してきた自治体を中心に、全国各地の林政・林業関係資料に関係する所在情報のデータベース化と公開も当ページにておこなっています。データベースに掲載する自治体や所蔵機関は随時追加していく予定ですので、こちらも併せてご活用ください。
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