史料纂集 古記録編 儀物軌式
A5判 326頁 令和7年5月20日刊行 八木書店
ISBN 978-4-8406-5223-0 本体17,000円+税
尾張徳川家の徳川将軍家に対する献上物の仕立方について、文化13年(1816)時点での情報を図解入りでまとめた書物です。
以下の解題とともに、品目一覧・品目索引を付載しました。
本書は、尾張徳川家から御三家・御三卿・大名家・旗本家・江戸城や御三家の女中・公家・寺院などに品物を贈る際の仕立方(作法)について、図入りで紹介した史料で、文化14年(1817)に成立しました。全10巻から構成されます。尾張徳川家から徳川将軍家への献上物の仕立方(作法)について記した『礼物軌式』(2023年12月刊行)の姉妹編として位置づけられます。
各贈呈品の仕立方(作法)の詳細や、容器の図が示されるだけでなく、「近例書抜」として過去の事例も紹介されていることが特徴的です。本書巻末に「宛名別贈答の近例一覧」を掲載しているので、宛先に応じてどのような品目を贈呈したのか、その傾向をつかむことが容易になり、当該分野の研究が進展しうる可能性を秘めています。
本書の詳細は八木書店ホームページ(
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2476)
をご覧ください。
史料纂集 古記録編 礼物軌式
A5判 220頁 令和5年12月12日刊行 八木書店
ISBN978-4-8406-5219-3 本体16,000円+税
尾張徳川家の徳川将軍家に対する献上物の仕立方について、文化13年(1816)時点での情報を図解入りでまとめた書物です。
以下の解題とともに、品目一覧・品目索引を付載しました。
〔解題〕
「礼物軌式」の来歴と編集方針 (髙橋喜子)
江戸における献上品調達 (宮澤歩美)
知多郡師崎村の産物 (萱田寛也)
以下、研究所所長 深井雅海による「あとがき」を抜粋し、本書を紹介します。
贈答行為は、人間関係を円滑に進めるうえで重要である。戦のない時代にあって、大名は、自家の存在を喧伝するため、四季折々に領内で獲れた物産などを徳川将軍家に献上していた。『武鑑』では、これを「時献上」と称した。明和2年(1765)の『武鑑』によると、258家の大名が「時献上」として献上した品物は、実に1922品に及ぶ。
こうした品物は、丁重に荷造りされて将軍家に献上されたが、徳川林政史研究所には、尾張徳川家から将軍家に献上された品々の「仕様書」ともいえる「礼物軌式」が残されている。この史料は、文化13年(1816)5月の成立で、尾張徳川家の音信贈答に関係した役人が手控・備忘のためにまとめたものであり、春11品、夏9品、秋16品、冬8品、その他18品の計62品が彩色絵入で収録されている。したがって、尾張家からの献上品の実相がわかる貴重な史料である。
Webサイト「ALL REVIEWS」に「尾張家から将軍家への贈り物-『礼物軌式』とその周辺」(藤田英昭)が掲載されています。
https://allreviews.jp/review/6411
史料纂集 古記録編 瑞龍公実録
A5判 405頁 令和4年3月25日刊行 八木書店
ISBN978-4-48406-5213-1 本体18,000円+税
尾張徳川家二代当主・徳川光友(1625~1700)治世下の出来事を編年体でまとめた記録で、初の全文翻刻となります。書名の瑞龍公は、光友の法諡である「二品前亜相瑞龍院殿天蓮社順誉源正大居士」に由来します。
本書には、慶安3年(1650)6月の徳川光友の家督相続から、元禄13年(1700)10月の逝去・葬祭まで、光友26歳から76歳まで50年間の記事が編年で収録されています。
3代将軍家光の長女千代姫と結婚した光友は、一時将軍後継者の噂もありましたが、家光に男子が誕生したことから、光友は尾張家当主として将軍家を支える役割を果たしていきました。御三家筆頭として、諸大名の模範となろうとした光友の意識を本書の記事から明らかにできます。
その他、光友の子女の経歴や人生儀礼、藩内の職制が整備されていく様子、家臣の改易事由、家中の人びとの喧嘩の顚末、名古屋の流行・風俗などが記載され、幕政史・制度史・法制史・社会史など各方面の研究で活用が期待できます。
参考史料として、「瑞龍院様御代奉書并御書付類之写」を収録しました。この史料は尾張徳川家伝来の古文書を、江戸期に尾張家で書写・編纂したものと思われます。ここには徳川家康の朱印状、光友治世下の幕府老中奉書、将軍の御成に関する書付、徳川光圀書状など多彩な古文書が掲載されています。併せてご利用下さい。
史料纂集 古記録編 源敬様御代御記録・第四
A5判 280頁 平成31年6月30日刊行 八木書店
ISBN978-4-8406-5201-8 本体15,000円+税
尾張藩祖徳川義直の出生から歿後の四十九日法要までの公式記録です。本冊には、正保4年(1647)正月から慶安3年(1650)6月まで、義直48歳から51歳までの4年間を収録しました。
また〔参考史料〕として、「源敬公御行状」と「源敬公御別伝」を収録しました。
「御行状」は、元禄7年(1694)、尾張家三代当主徳川綱誠の命により、医官・並河魯山が編纂したもので、上巻では義直の経歴が、下巻ではその人柄や逸話などが書かれています。
「御別伝」は、同じく並河魯山が元禄8年に著したもので、「御行状」にない義直の逸話がまとめられています。
義直の事蹟の公的記録である本書に対し、参考史料の二書は、義直の人柄がうかがわれる貴重な史料です。
江戸時代の森林と地域社会
B5判 95頁 平成30年3月31日発行
全国各地の森林と地域の人びとが歩んできた歴史をまとめた一冊です。
木曽山・飛騨山・北東北地方における森林利用の歴史や領主林政の展開、大都市近郊に位置する村々で炭の生産に従事した人びとの様相、林産物の生産技術が諸国へ伝播する過程などについて解説したものとなっています。
なお、本書は全文をPDFで公開しています。
まえがき
- 木曽山と周辺の村々
一 「木曽五木」と濃州三ヶ村 / 二 木曽谷の村々と「百姓控林」
- 飛騨山と村・町の暮らし
一 飛騨国の森林政策と村々 / 二 町方・村方の家屋建築と飛騨山
- 北奥羽の森林とその利用
一 ヒバをめぐる弘前藩領の人びと / 二 秋田藩領阿仁銅山をめぐる森林利用
- 大都市江戸の燃料と森林
一 江戸城御用炭請負山村と村人の意識 / 二 房総の牧と「佐倉炭」
- 畿内近国の森林と遠国への技術の広がり
一 熊野炭の生産と技術の伝播 / 二 明治の森林事情と吉野林業
あとがき
全文PDF
史料纂集 古記録編 源敬様御代御記録・第三
A5判 285頁 平成30年2月27日刊行 八木書店
ISBN978-4-8406-5185-1 本体15,000円+税
徳川家康の9男で尾張徳川家初代当主となった徳川義直(1600~1650)の公式記録の第三巻です。本巻には、義直41歳~47歳までの寛永17年(1640)正月から正保3年(1646)12月までの7年間の記事を収録しました。
この間、将軍家では家光待望の男子である竹千代(家綱)が誕生し、以下、長松(綱重)・亀松・徳松(綱吉)と次々と男子に恵まれました。こうした男子の人生儀礼のなされ方はもちろんのことですが、これらの慶事に尾張家がどのように関わったのかを本巻から知ることができます。一方、尾張家では、義直生母である相応院(お亀の方)が67歳で死去しました。本巻からは相応院の葬儀や年忌法要の具体的な様子が明らかにされます。
また、尾張家屋敷の作事に関する記事も少なからず見出され、御殿整備が進んだ様子もうかがえます。これらの屋敷には、将軍家光も訪れ、尾張家からは盛大なおもてなしがありました。
義直の動向はもちろん、20代の若者へと成長した嫡男光友と将軍家との関わりなどの記事も収録されています。さまざまな観点から問題点を引き出すことができる史料集です。どうぞご利用下さい。
史料纂集 古記録編 源敬様御代御記録・第二
A5判 308頁 平成28年7月28日刊行 八木書店
ISBN978-4-8406-5185-1本体15,000円+税

尾張徳川家初代当主の徳川義直(源敬・家康9男)の出生から歿後の四十九日までの尾張家の公式記録です。昨年刊行した第一に引き続き、第二は寛永8年(1631)正月から同16年(1639)12月までを収録しました。義直32歳より40歳までの年代記です。
本巻には、二代将軍・大御所となった兄秀忠の死、甥に当たる駿河大納言忠長の改易事件、さらに三代将軍家光の病気の記事など、将軍家に関わる重要記事とともに、正室春姫(高原院)の江戸下向とその死去・葬礼、嫡男光友と千代姫(家光長女)の婚礼など、尾張家と将軍家との関係が具体的にわかる記事が多く記載されています。儒教を尊崇し、学問を好んだ義直の人となりや人間関係も、記事からうかがえます。
江戸初期の幕政や藩政、思想・学問環境など、さまざまな切り口で読むことができる記録です。ふるってご活用下さい。
史料纂集 古記録編 源敬様御代御記録・第一
A5判 280頁 平成27年7月10日刊行 八木書店
ISBN978-4-8406-5180-6本体15,000円+税
「源敬」とは、徳川家康9男で尾張徳川家初代当主となった徳川義直(1600~1650)の諡号です。
本記録は全36冊。そのうち、第一巻には慶長5年(1600)11月28日の義直誕生から、寛永7年(1630)12月までの16冊分を翻刻・収録しました(全4巻の予定)。
尾張徳川家中の人事・加増・家督相続の様子が詳細に記された本記録は、尾張家中の成立過程を具体的に知ることができる基本史料です。名古屋城普請の様子や城下町が形成されていく様子もうかがえます。
そのうえ、義直と家康・秀忠・家光との関係、実弟が当主を務める駿河(のち紀伊)・水戸の徳川家をはじめとする諸大名との交流、またこれまであまり知られていなかった東福門院(義直の姪にあたる徳川和子)との贈答の様子などが具体的に明らかにされます。
江戸初期の幕政史・藩政史・制度史だけではなく、戦国の余燼がくすぶる社会的状況なども散見され、さまざまな視点で活用することができる史料集です。第二巻以降もご期待下さい。
徳川の歴史再発見 森林の江戸学Ⅱ
A4判並製 224頁 平成27年3月刊行 東京堂出版
ISBN978-4-490-20896-2本体2,600円+税
2012年に当研究所から出された『森林の江戸学』の2冊目です。
本書では“暮らしを守る森林”に着目し、洪水・渇水・強風・飛砂・津波といった災害から人びとの暮らしを守ってきた森林が、江戸時代以来どのように保護・育成されてきたのかを全国各地のさまざまな事例を挙げて解説したものとなっています。

はしがき
総説 “暮らしを守る森林”-江戸時代からのメッセージ-
1 “暮らしを守る森林”へのまなざし
2 国土の変貌と水土保全への着目
3 列島を襲う風・飛砂・潮と“緑の屏風”
4 災害からの復旧・復興と森林への期待
5 “暮らしを守る森林”と近代林政
- 山を治める
- 1 「諸国山川掟」と畿内・近国の土砂留制度
- 2 岡山藩における森林荒廃と土砂流出
- 3 尾張藩の砂留林と水野千之右衛門
- 水源を育む
- 1 秋田藩における水野目林の保護・育成
- 2 弘前藩における田山と村々
- 3 熊本藩における水源涵養林と植林事業の展開
- 風・飛砂・潮に備える
- 1 屋敷を守る防風林
- 2 越後国新潟町の海岸砂防林と新潟奉行川村修就
- 3 仙台藩の防潮林と村の暮らし
- 暮らしの危機と森林
- 1 都市江戸の火災と植溜・御庭
- 2 江戸時代の飢饉と森林
- 3 安政の大地震と地域の対応
- 時代を越える“暮らしを守る森林”
- 1 井之頭御林と江戸・東京の水源
- 2 天竜川流域の治山治水と金原明善
- 3 森林法の制定と保安林制度の成立
あとがき
写真集 尾張徳川家の幕末維新
B4判 307頁 平成26年3月刊行 吉川弘文館
ISBN978-4-642-03827-0 C3072本体9000円+税

当研究所が所蔵する古写真のうち、尾張徳川家14代(のち17代)当主であった徳川慶勝が撮影した写真や、慶勝が歩んだ激動の幕末維新の時代を記録した写真307点を厳選掲載した写真集です。
初公開の写真も多数収録し、慶勝お手許の写真研究書・技術書も翻刻掲載しました。
はじめに(徳川義崇)
解説 徳川林政史研究所所蔵写真(白根孝胤)
プロローグ 徳川慶勝とその家族
第1章 徳川慶勝と激動の時代
第2章 幕末・明治の名古屋
第3章 江戸から東京へ
第4章 新天地 北海道・八雲の情景
エピローグ 激動の時代を乗り越えて
【史料1】真写影鏡秘伝(諸品新聞書)
【史料2】旧習一新記
《徳川慶勝年表》
《徳川慶勝関連系図》
あとがき(竹内 誠)
徳川の歴史再発見 森林の江戸学
A4判並製 294頁 平成24年2月刊行 東京堂出版
ISBN978-4-490-20764-4本体2800円+税

「国際森林年」であった2011年より当研究所で執筆・編集に着手した“江戸時代の林政史”の一般向け概説書です。
「概説編」と「基礎知識編」の2部構成で、概説編は「森林政策から見た“徳川三百年”」と題し、戦国末から明治初め頃までの森林政策の流れを概観しています。基礎知識編は、江戸時代の森林を知る上で必要な事項を48項目選んで、それぞれに解説を施しました。
〔概説編〕森林政策から見た“徳川三百年”
1 森林荒廃をもたらしたもの
2 乱伐と抑制の一七世紀
3 植林と育成の一八世紀
4 保続と活用の一九世紀
〔基礎知識編〕
- 日本の森林
森林の分布/広葉樹・針葉樹/森林の一生/天然林/人工林/保安林・経済林/国有林・公有林・私有林
- 森林の保全と育成
木曽山の留山/水土保全の施策/防風林・砂防林/ 林政論と山林書/植林技術の推移/幕府の造林事業と差杉/育林と山役人/盗伐の取り締まり/輪伐制度
- 伐木と運材
伐木道具と伐採法/山落し・小谷狩/大川狩と綱場/筏流しと船送り
- 流通と市場
江戸の材木商人/名古屋の材木商人/大坂の材木商人/江戸庶民の家作と材木仲買
- 領主による御用材生産
御林に関わる幕府役人/御用材の樹木と材種/林業の村と木年貢/御救伐り出し/材木御用達町人/江戸幕府の御材木蔵/御用材の払い下げ/江戸城の炎上と御用材/諸藩の御用材生産
- 領民による材木生産
部分林/年季山/百姓の山と経営/白木稼ぎ・木地稼ぎ/林産物利用の多様性
- 村の生活と森林
里山と奥山/屋敷林と鎮守の森/山の祭事/農耕と山稼ぎ/棚田・なだれ畑・焼畑/薪炭の生産/紙漉き・木臘・漆・樟脳/鉄砲と猟師/榑へぎの技術/杣・日用の出稼ぎ